本日は、グラフィックデザイナーを経て建築業界へ・現在はインテリアアート・プロダクト制作に力を入れて活動している「黒神奈美」さんにお話をお伺いしました。
本日はインタビューをお引き受けいただきありがとうございます!
アートに触れるきっかけになった作品や思い出はありますか?
父です。特に画家という訳ではありませんでしたが、手先が器用で、精密描写が得意でした。
幼い頃、木で手作りの列車の玩具を作ってくれたり、図鑑の写真そっくりの鳥の絵を描いてくれました。
昔からクリエイティブな物事に触れる機会が多かったんですね!
美術大学を卒業されて、デザインや建築関連に携わった経歴をお持ちとのことですが、大学時代~現在にかけて、大変だったこと・楽しかったことなどあれば教えてください。
美大への進学をするためには、教員資格を取る事が条件でした。両親は将来の選択肢が狭まる事を心配した様です。
入学後は案の定、アート漬けで有意義な学生生活を満喫していました。でも実践で役立つ技術は持たずに社会に出ることになった私は、就職活動の中で自分の人財としての価値が如何に低いか思い知らされました。それはそうです。
会社にしてみればデザイン科ならまだしも、油絵作品のポートフォリオを見せられても具体的に何に役立つか分かりません。
そこで私はターゲットを変える事を考えました。油絵ではなく精密な風景画をメインにしたポートフォリオを作成し、アニメーション背景画の専門会社へ入社しました。そこからは、やりたい事ではなく、人財としての価値を高めることに注力しました。
能力がある分野を片っ端から網羅し、実践的な知識を得る為、デザイン〜建築関連の会社へと転職を繰り返し、スキルと経験値を上げていきました。その過程は、常に刺激的で面白いものでした。
これまでに様々な経験を経て、今の生活に行きついたんですね。
現在はアート活動をメインにされているのでしょうか?作家活動を始めたきっかけや理由があれば教えてください。
アートだけで生きられるほど、私は天才的な才能に恵まれていません。現在は本業の住宅リノベーションのデザイナーやプロダクトデザインをしながら、株式会社ソーシャルインテリアのデザインパートナーとして家具のコーディネートをしたり、グラフィックデザインをしたりしています。
作家活動を始めたのは、自分で設計した空間を彩るアートピースが欲しくて制作し始めたのがきっかけです。ちょうどコロナが蔓延していた頃で、意識が外から内に向いていたのだと思います。気がついたら30点以上制作していました。
そこまで集中して制作できるのも、これまでの経験や知識あっての賜物かもしれませんね!
ちなみに今の作品のスタイルと、そこに行きついた経緯を教えてください。
優れたデザインには無駄がありません。建築空間もそうです。その空間を支配する様なアートも魅力的ですが、私の作品では空間のアクセントになりつつも、ノイズにはならない作品づくりを心がけています。空間を作る側の感覚を持っているからこそ行きついたスタイルだと思います。
作品を制作するうえでこだわっている部分や、大事にしているテーマなどありますか?
陶芸の景色(陶芸で用いる釉薬が器面を流れてできる模様や、焼いたときにできる焦げなどの変化でできた結果を指す)の様に、見る者の心のあり方によって受け取る印象の異なる作品を制作したいと考えています。
大切にしているテーマは、[自然]と[哲学]です。
制作におけるインスピレーションはどのような所から受けますか?
美しい風景や植物の造形美、本で読んだ詩やパートナーの何気ない言葉、身近な人の死。
小さなころから手を動かす作業になじみがあったと思いますが、昔と今の自分を比べて、心境や普段の生活で何か変わったことはありますか?
2年ほど前に独立し、神戸と岡山の2拠点生活を始めました。
今はやりたい仕事だけをしているので、パートナーや愛猫と一緒に過ごせる時間も増えて心が穏やかです。
アート以外に興味がある事、趣味などはありますか?
淡路瓦の技術を使ったタイルや茶香炉のデザインも手がけています。
現在の趣味はビカクシダの胞子培養です。
今後の活動の目標や予定などありましたら教えてください!
設計〜インテリア、アート まで全て自分で手がけた空間の実現。
ここまでインタビューにお付き合いくださりありがとうございました!
最後に、FROM ARTISTをご覧の皆様にメッセージをお願いします。
「倦(あぐ)むことない景色なアート」をコンセプトに、建築空間に馴染む抽象画をメインに制作。
飽きる事がない=普遍的な美と捉え、潜在的な意識に潜む自然の造形や哲学的な思考、日本の文化的な感性をモチーフにしています。
インテリアに馴染むアートピースとして、日々何気なく眺めて頂けると幸いです。
▪️HP http://www.orthogonal.design/
最後に、FROM ARTISTに掲載中の作品をご紹介
作品名:[move]
作品詳細URL:https://from-artist.com/products/move