59歳からの渡米、そして挑戦——。人生の光と影をキャンバスに重ねる、情熱の物語【Tadashiインタビュー】

59歳からの渡米、そして挑戦——。人生の光と影をキャンバスに重ねる、情熱の物語【Tadashiインタビュー】

妻の死、59歳での渡米。第二の人生で拓いたアートの道

今回は油彩画家として活動されている「Tasashi」さんにお話しを伺いました。

インタビュアー:本日はよろしくお願いいたします!自己紹介と、現在どのような作品(活動)を中心に制作されているか教えてください。

Tadashi:よろしくお願いいたします。簡単に自己紹介させていただきます。55歳の時に妻を亡くしたことが、私の人生における大きなターニングポイントとなり、59歳で会社を退職し、同年の夏にアメリカの南インディアナ大学へ留学。絵画や陶芸を本格的に学び、6年間の滞在を経て2017年に帰国しました。

帰国する年の5月に、南インディアナ大学で個展(作品は油彩画、陶芸、立体造形物など)を開催する機会に恵まれ、帰国後は、油彩画を栃木県芸術祭(2回入選)、白日会展(1回入選)、グリム絵画展(グリム賞3回受賞)等に出品し、入選・入賞しました。

直近では「ねんりんピック2026とちぎ」の美術展予選会にて、油彩画『郷愁#2』(F50号)で金賞を受賞し、埼玉県立近代美術館で開催される全国大会へ参加することになりました。

以前は大きなサイズを中心に描いていましたが、最近はご家庭の玄関などに気軽に飾っていただける小ぶりの作品(SM〜F20号ほど)を、楽しみながら制作しています。

音楽に救われた実体験が、アートの道を示してくれた

インタビュアー:退職後に留学されたのですね!続いて、アート・ものづくりの道を志した「原点」や、現在の活動を始めた「きっかけ」は何ですか?

Tadashi:生前、子供たちにピアノを教えていた妻の存在や、妻を亡くした時期にオカリナの音色に出会い、音楽に心を救われた実体験があります。それが、私にアートの道を教えてくれた原点なのだと感じています。

アメリカ留学当初は心理学を専攻していたのですが、学びを進めるうちに「今の自分が本当にやるべきことはこれではない」と気づき、アート専攻へ変更しました。陶芸の授業からスタートし、単位を計算しながら絵画も学ぶ中で作陶と作画の面白さにすっかりのめり込み、充実した6年間の留学生活を過ごしました。

見えない感情を表現し、鑑賞者の人生と融合する絵を

インタビュアー:とても濃密な経験をされたのですね!次に、作品を制作する上で、最も大切にしている「こだわり」や「コンセプト」を教えてください。

Tadashi:油彩画を描く際、特に大切にしているのは「見えない思いや感情をどう表現するか」そして「光があれば必ず影がある」という2つの視点です。

私の絵を見てくださる方の思いが作品と重なり、融合することで、その人だけの人生の物語が紡がれていく。そんな風に、誰かの人生に関われる作品を生み出せたら、これ以上嬉しいことはありません。

他者の表現や人間性の変化に触れたとき、アイデアが芽生える

インタビュアー:思いを込めて制作されているのが伝わってきますね!では、日々の制作のアイデアやインスピレーションは、どのようなところから湧いてきますか?

Tadashi:自分がまだ知らないことに触れた瞬間です。特に美術館や個展で作品の技法や作者の思いに心を馳せるときや、親交のあるアーティスト仲間たちの作品を通じて、時の流れとともに作風や精神性が変化していく様子に気づいたとき、大きなインスピレーションを受けます。

恩師の言葉が教えてくれた、これから歩む「未来への覚悟」

インタビュアー:やっぱり「思い」を大切にしていると感じます!続いて、これまでの活動の中で、特に印象に残っている出来事や、ご自身にとって「ターニングポイント」となった作品はありますか?

Tadashi:留学中の絵画の授業で描いた自画像『The Beginning of My Second Life』です。キャンパス内の湖に背を向けて佇む、2011年秋の自分を描いた作品です。

授業の講評会で、教授が他の学生たちに向かってこう言ってくださいました。 「この人物は、秋の紅葉をただ眺めて感嘆しているのではない。これから自分が歩んでいく未来に思いを巡らせているのだ。リュックを背負うこの姿は、第二の人生の旅に出る覚悟を表しているのだよ」

自分の内に秘めた思いを鋭く汲み取ってくださった言葉は、その後の大きな糧となりました。この自画像を表紙にし、自伝的小説『ひと粒の涙(A Drop of Tears)』を2022年にAmazon Kindleで出版(日本語版・英語版)したことも、大切な思い出です。

絵と陶芸を融合させた、自分だけのオリジナル表現へ

インタビュアー:小説も書かれたのですか!本当に多才ですね!次に、作家として、今後挑戦してみたいことや、これからの展望(夢)を教えてください。

Tadashi:陶芸は設備が必要なこともあり、帰国後はしばらくブランクがありました。しかし現在、限られた環境の中でも作陶できる体制が整ってきました。今後は陶芸と絵画を合体させた、自分だけのオリジナル作品作りに挑戦していきたいと考えています。

「優しさ」の裏にある強い愛を込めて、描き続けていく

インタビュアー:完成したら是非拝見したいです!最後に、この記事を読んでいるファンの方や、これからあなたの作品に出会う方へメッセージをお願いします。

Tadashi:知人からはよく「絵に優しさがある」と言われます。嬉しく思う反面、「自分の弱さが出てしまっているのかな」と悩み、大胆な色遣いや筆遣いができないことに葛藤していた時期もありました。

ですが最近は、「自分の感性に逆らってまで無理をする必要はない」と思えるようになったんです。その「優しさ」は、見方を変えれば「愛する思いの強さの裏返し」なのではないかと。

これからも作品に「強い愛」を込めながら、自分らしく試行錯誤を重ね、描くことを楽しんでいきたいと思います。



【お名前(活動名)】

Tadashi

【肩書き・ジャンル】

油彩画、ファインアート

【SNS・WEBサイトのURL】

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