※本記事は、2026年1月に公開されたオンラインセミナーを記事用に再構成されたものです。
AIが「考えるプロセス」を代替し始めた現在、ビジネスパーソンが発揮すべき真の価値とは何か。FROM ARTISTの代表・戸井田が語る、創造性の構造と組織への実装方法をレポートします。
導入:AIは「答え」を出し、人間は「問い」を立てる
AI(人工知能)の進化は、企画の叩き台作成、データ分析、資料構成といった「考えるプロセス」を劇的に効率化しました。しかし、戸井田は**「AIを使い倒すからこそ、人間の価値が浮き彫りになる」**と強調します。
AI時代に人間が担う2つの独占領域
意味構築力:曖昧な状況から「自分たちなりの意味」を見出す力。
プロブレム・フレーミング(問いを立てる力):AIが得意とする「与えられた問いへの回答」ではなく、「そもそも何を考えるべきか」を決定する力。
「これからの時代、AIを使えるかは前提。その上で、AIと共存しながら人として何を生み出せるかが問われています。」
第1章:なぜ今、ビジネスに「創造性」が必要なのか
かつて創造性は「一部のクリエイターの才能」とされてきましたが、現在は**「組織が生き残るための必須スキル」**へと変貌しています。
背景にある2つのメガトレンド
「正解」の喪失:新規事業、顧客理解、人材育成。かつての成功法則が通用しない「正解のない世界」では、何を正解とするかを自分たちで定義しなければなりません。
右脳的価値の浮上:データ整理や要約はAIの領分。一方で、洞察、解釈、意味付け、共感、感性といった「右脳的な領域」こそが、企業の競争力を左右する時代になりました。
第2章:世界トップ企業が定義する「アート思考」の本質
アート思考とは、単に絵を描くことではなく**「曖昧さに耐えるプロセス」**そのものです。
GAFAやOpenAIが求める「ネガティブ・ケイパビリティ」
世界の最先端企業は、すでに採用基準にアート思考的な要素を組み込んでいます。
企業 求められる能力(人材要件) 意味するもの
OpenAI Comfortable working with uncertainty 曖昧な状況でも平然と仕事ができること。
OpenAI Ability to operate in ambiguity 何が問題か分からない状態でも、自ら考え動き続けられる力。
Google Dealing with Ambiguity 曖昧さを排除するのではなく、曖昧なまま考え続けられる力。
Google Problem Framing over Solving 答えを出す前に、問題を定義することを優先する姿勢。
第3章:創造性を解剖する「3つの階層モデル」
創造性は魔法ではありません。以下の3つの要素が連動して初めて機能します。
観察の深さ(Observation)
単に「見る」のではなく、見えていないものに気づく力。同じ市場データから、他者が気づかない「課題」を発見する力です。
問いの質(Inquiry)
「どう改善するか(How)」という効率の問いを超え、「なぜこれを表現・提供するのか(Why)」という根源的な問いを立てる力。
意味付ける力(Meaning-making)
色や形に意図を込めるアーティストのように、プロダクトの価値やブランドの物語を定義する力。これがユーザーからの強い支持(エンゲージメント)に繋がります。
第4章:実践!組織の「創造的筋肉」を鍛える3つのトレーニング
アート思考は「体験」を通じてしか習得できません。セミナーでは、実際に活用されている3つの手法が紹介されました。
① 想像力を育てる:対話型アート鑑賞(VTS)
1つのアート作品を囲み、以下の3つの問いだけで対話します。
「作品の中で何が起きていますか?」
「そう思った理由は何ですか?」
「他にはどんな見方がありますか?」
効果:正解を当てるのではなく、多様な解釈を受け入れながら意味を立ち上げる経験を積めます。
② 共感力を育てる:エモーショナル・ラベリング
相手の意見に対し、評価や助言をする前に、その背後にある「感情」を言葉にして返します。
(例)「期待と戸惑いが混ざっているように見えますが、いかがですか?」
効果:相手への関心を示し、心理的な心理的距離を縮め、衝突や誤解を減らします。
③ 心理的安全性を育てる:マインドフル・アート
アートを使い、良い・悪いを判断せずに「ただ感じる」時間を持ちます。
効果:否定されずに存在できる感覚を醸成し、自分の内側を安心して表現できる土壌を作ります。
第5章:導入企業に起きる「劇的な変化」
株式会社セネカの事例
従来の業務プロセスだけでは得られない「柔軟な思考」を求め、クリエイティブビジョン(想像力開発コース)を導入。
結果:研修前後のアセスメントで、「観察力」や「説明力」のスコアが2倍以上に向上する社員が続出。脳の新しい領域を使う感覚を組織全体で共有しました。
組織全体に現れる3つのサイン
議論の質の変化:事象ではなく「問題の本質」に目が向くようになる。
発言の活性化:心理的安全性が高まり、普段意見を言わない層からもアイデアが出る。
転用力の向上:アートの構図や色の意味を考える経験が、「これは自社のビジネスにも応用できるのでは?」という発想のクセを作る。
まとめ:2026年、あなたの組織は「問い」を持っているか
2026年、AIの進化により分析や提案はますますコモディティ化(一般化)していきます。その中で、組織が独自の光を放つために必要なのは、**「曖昧さの中に留まり、自分たちの言葉で意味を紡ぎ出す力」**です。
アート思考は、特別な人のためのものではありません。日々の仕事の中で、誰もが本来持っている「人間らしさ」を引き出すための、最も実践的なビジネススキルなのです。
アートをもっと身近に。FROM ARTISTが大切にしていること
「アート」と聞くと、どこか遠い世界のことのように感じてしまいませんか?
私たち FROM ARTIST(フロムアーティスト) は、そんなアートの壁を取り払い、誰もが自分らしく「新しい視点」を持てるきっかけを届けているチームです。
誰もが「アーティスト」になれる場所
私たちは、絵を上手に描くことだけがアートだとは考えていません。
・目の前のものをじっくり観察してみること
・「これってどういう意味だろう?」と自分なりに想像してみること
・自分の感じたことを、素直に言葉にしてみること
こうした、日常の中にあるちょっとした「心の動き」こそが、豊かな創造性の源だと信じています。
ビジネスとアート、二つの視点を持っているから伝えられること
FROM ARTISTの最大の特徴は、バリバリ働くビジネスの専門家と、感性豊かな現役アーティストが手を取り合っていることです。
「仕事で新しいアイデアが欲しいとき」も、「自分らしい生き方を見つめ直したいとき」も。私たちはアートという鏡を通して、あなたやあなたのチームが持っている、まだ気づいていないワクワクするような可能性を引き出すお手伝いをしています。
AIがどんなに便利になっても、最後に「これっていいな」と感じたり、「こうしたい!」と願ったりするのは、私たち人間です。そんな、人間にしかできない「感じる力」を、私たちと一緒に楽しみながら育ててみませんか?
[ FROM ARTIST 公式サイト ]
( https://from-artist.com/ )
アートのある暮らしや、新しい自分に出会うヒントをのぞいてみてください。