朝、何気なく袖を通す一枚の服。あるいは、人前に立つときに無意識に整える表情。私たちは日々、目に見えるものも見えないものも、少しずつ身にまとって暮らしています。今回の作家特集で取り上げるのは、高校3年生のナガイルナ。将来はアーティストとして活動していきたいと語る、まだ歩みはじめたばかりの作り手です。その初期の視線が「纏う」という一語にどのように向けられているのか。一点の作品を手がかりに、静かに眺めてみたいと思います。
作品紹介
服をまとうことは、身を守ることでもあり、自分を見せることでもあります。では、「纏う」と名づけられた作品の前に立つと、何が見えてくるのでしょうか。覆うものと、覆われるもの。その境目にただよう気配に、そっと目を向けてみたいと思います。作品は一点だけですが、だからこそ、ひとつの表現とじっくり向き合う時間を取ることができます。
まとうものは、外からの装いであると同時に、内側の何かを映すものかもしれません。作品の前で立ち止まったとき、あなた自身は今日、何を纏っているでしょうか。その問いが静かに残ります。
高校3年生という時期は、これから選ぶものの多さと、まだ形になっていない可能性が同居する季節です。ナガイルナが「纏う」に託したまなざしは、いまこの時にしか生まれないものかもしれません。部屋に迎え入れ、日々の光のなかで向き合うことで、見え方がゆるやかに変わっていく。そんな時間をともにする作品として、作品ページでじっくりご覧いただければ幸いです。