太陽を見上げるとき、私たちは何を思うだろう。希望、再生、あるいは生命そのもの──古来より人類が仰ぎ見てきたその光を、笛木紀予子は独自の方法で写し取る。カメラに収めるのは光の粒子だけではない。彼女が念じる言葉、そして被写体である太陽が放つエネルギーが交差する瞬間が、そこには記録されている。加工を一切施さずに現れるカラフルな光の環は、科学と神秘の境界に立つ私たちへの静かな問いかけだ。
作品紹介
光学現象としてのレンズフレアと、心の内に灯る祈りは、本来まったく別の次元に属している。けれど笛木の作品は、その二つが溶け合う領域を示してみせる。幸せを願う言葉を念じながらシャッターを切るという行為は、撮影というより儀式に近い。結果として定着された画像には、見る者の心身を癒すという声が多く寄せられてきた。
「全てはうまくいっている」という言葉が内包する安心感を、さらに広い視野へと開いてゆくと──
言葉と光、意図と偶然。それらが交差する一瞬を切り取った二つの作品は、写真が単なる記録ではなく祈りの器にもなりうることを、静かに物語っている。
壁に掛けられた太陽の写真は、窓の向こうにある本物の太陽とどこか呼応しながら、空間に穏やかなリズムを刻む。それは装飾であると同時に、日々を支える小さな祈りの場にもなりうる。笛木紀予子の作品は、アートと信仰、美と願いが未分化だった時代の記憶を、現代のテクノロジーを通じて静かに蘇らせているのかもしれない。