静けさと動き。相反するふたつの要素が一枚の画面に同居するとき、そこにはどんな物語が生まれるだろう。ゆき ひろこは、アメリカ、オーストラリア、北欧と各地を巡り、多様な文化圏のアーティストと交流を重ねてきた作家だ。帰国後はデザインや美術教育の現場で活動しながら、メルヘンやファンタジー、そして動物たちをモチーフにした作品を生み出している。彼女の画面には、旅で培った多層的な視点と、物語への静かな愛情が溶け合っている。
作品紹介
タイトルに冠された「静&動」という言葉は、そのまま画面の構造を示している。止まっているものと動くもの、沈黙と音、凝視と流動。相反する要素を一枚のなかに収めるには、構図の緊張感とモチーフの選択が問われる。ゆき ひろこがどのようなバランスでこの対比を成立させているのか、作品そのものが語りかけてくる。
対極にあるものを並置するのではなく、溶け合わせる。その試みが、鑑賞者それぞれの記憶や感覚と呼応する余地を残している。
ひとつの画面に対極の要素を織り込むことで、作品は単なる情景描写を超えた余白を獲得する。眺めるたびに異なる表情を見せるその奥行きは、日常の空間にささやかな問いと驚きをもたらしてくれるだろう。気になる作品があれば、手元に迎えてみるのも一つの選択かもしれない。