静謐と愉悦―日本画が映す二つの時間 - FROM ARTIST

静謐と愉悦―日本画が映す二つの時間

ひとりの作家が向き合う画面は、いつも同じ表情をしているとは限らない。鈴木 衣水乎の日本画には、静謐な余白のなかに文学の断片を宿した作品と、鮮やかな色彩で日常を彩る干支シリーズという、まったく異なる二つの顔がある。前者は韓国作家ハン・ガンの小説世界に触発され、後者は毎年巡る暦のリズムに呼応する。伝統的な日本画の技法を基盤としながら、異なる時間軸と感情の濃度を行き来する作家の制作姿勢は、見る者にアートとの多様な出会い方を静かに示している。

物語を纏う―文学との対話

白い羽根が舞い落ちる一瞬を、言葉ではなく絵具で捉えたらどうなるか。ハン・ガンの小説『白』が紡ぐ静けさと喪失の感覚に触発され、鈴木は鳥というモチーフを通じて文学的世界観を画面に定着させた。余白を恐れず、むしろそこに呼吸を置くような構図。日本画の伝統技法が持つ繊細さと、現代文学が喚起する内省的な時間が重なり合う。

白いもの〜鳥〜

白いもの〜鳥〜

by 鈴木 衣水乎

文学作品から湧き出たイメージを、日本画で静謐に描きとめた一枚。鈍色に沈む空を見つめる女性と白い鳥の姿が、物語の深い世界観を優しく伝えます。言葉にならない心情が色彩と筆致に宿る作品です。

サイズ 60.6×41cm
価格 ¥55,000
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物語から受け取った感情は、筆を通して別の静寂へと姿を変える。文学と絵画、異なる表現が交わる場所に立つ作品。

暮らしに息づく十二支

暦が一巡するたび、新しい干支が玄関や居間を彩る。日本の暮らしに根づいたこの習慣を、鈴木は伝統の枠に留めず、ポップな色彩とユーモアで更新してみせる。イノシシ、ニワトリ、トラ。本来ならば厳かに描かれがちな十二支のモチーフが、ここでは軽やかに、時にユニークな英題とともに現れる。毎年飾り替える楽しみを持つインテリアとして、あるいは贈り物として。日本画という技法が日常へ開かれる瞬間がここにある。

干支シリーズ-亥年 Boo Foo Woo

干支シリーズ-亥年 Boo Foo Woo

by 鈴木 衣水乎

干支を彩る小さな日本画。古典の技法で描きながらもポップな表情を湛えた豚の姿が、愛らしく観る人を微笑ませます。毎年の季節の移ろいを一年間共に過ごす、身近で親密な美の形です。

サイズ 18×14cm
価格 ¥8,000
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では、同じ干支シリーズでも表情はどう変わるのか。

干支シリーズ-酉年 Flamingos March

干支シリーズ-酉年 Flamingos March

by 鈴木 衣水乎

干支を彩る小さな日本画。古典の技法で描きながらもポップな表情を湛えたフラミンゴたちが、行進する様子を軽やかに表現します。毎年の季節とともに飾る、身近で親密な美の形です。

サイズ 18×14cm
価格 ¥8,000
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そして、十二支のなかでも異彩を放つのが──

干支シリーズ-寅年 gaze

干支シリーズ-寅年 gaze

by 鈴木 衣水乎

干支を彩る小さな日本画。古典の技法で描きながらもポップな表情を湛えた虎の凝視が、深い視線で観る者を捉えます。毎年の季節を一年間共に過ごす、身近で親密な美の形です。

サイズ 18×14cm
価格 ¥8,000
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伝統的なモチーフは、視点ひとつで親しみやすく、現代の空間に息づく存在へと変わる。暦と暮らしを繋ぐ、愉快な橋渡し。

物語の余白に耳を澄ませるように向き合う作品と、季節の訪れを祝うように飾る作品。鈴木 衣水乎の日本画は、鑑賞という行為が持つ多層性を思い出させてくれる。壁に迎え入れるとき、そこにどんな時間が流れはじめるだろうか。作品との対話は、選ぶ瞬間からすでに始まっている。

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