本日は、愛媛県で生まれ大阪でアーティスト活動をし、アキーラ絵の具を用いて、「かたちのないもの」をテーマにヒトとトリの絵を描いているアーティスト「フミトリツムギ」さんにお話を伺いました。
まず初めに、アーティストになりたいと思ったきっかけは何ですか?昔から絵で仕事をしたい、という思いがあったのでしょうか。
もともとアーティストになりたい、という気持ちはそれほどありませんでした。
幼少期から姉の真似事で絵を描いており、高校時代にとある卒業生の方に憧れて、「自分も絵で仕事がしたい」と思うようになりました。正直絵を描けるならゲーム会社でイラストを描いたりデザイン会社に就職したのでもいいかな、と思っていたのですが、専門学校卒業間近に「自分の描きたいものが周りの人たちが描いているようなゲームのキャラクターやデザインではない」と感じ始めました。
社会人になりアルバイトをして自分の生活費を賄うのに精一杯だった時期に、数か月絵を描く気力もなくなった時期があったのですが、「この気持ちを絵に表現したい」という思いだけが残っていました。その後私生活もどうにか落ち着いて初めて個展を開いたときに、自分の作品を見てくれた方や絵を描いて生計を立てている方とお話しして、「自分の気持ちを作品にして、自分の絵で生活がしたい」と感じ、現在に至ります。
これまでで一番印象に残っているアート作品はありますか?初めて目にしたときの印象も教えてください。
一番記憶に古いものだと、中学生の時にインターネットで見かけたクリムトの「接吻」が、とても衝撃的でした。当時はアートの知識もほとんどなく、アート=風景画や人物画のような写実的なもののイメージが強かったので、この作品の非現実的な世界観や色づかいに強く惹かれました。
自分が制作をする中で、影響を受けたアーティストはいますか?自分の作品のテーマや技法など、そのアーティストから影響を受けた部分はあるのでしょうか。
黄菊しーくさんという方に特に影響を受けていると思います。
心象風景の中に、少しコミカルな人物が溶け込むように描画されているのが優しくもあり寂しくも感じる作風で、今改めてみると自分の表現したいものに近しい作品を描かれる方だな、と思います。あまり意識して描いていたわけではないのですが、色づかいや流動的な画面の構成などが無意識に影響を受けていたのかなと思います。
昔と今を比べて、制作や作品に対する気持ちに変化などありましたか?今の作品のスタイルと、そこに行きついた経緯を教えてください。
現在の作品は、言葉で表現できない心情や記憶を「かたちないもの」というテーマで描いています。
感情の起伏を、渦のような、波のようなもので表現しています。
作品の中に人間っぽいものと鳥っぽいものを入れ込んで制作することが多いのですが、心象風景に呑まれた(入り込んだ)「なにか」として描いています。そのキャラクターのための世界ではなく、どこかの誰かの心の中、あるいは自分の心の中の風景として捉えてもらいたくてキャラクターは敢えて曖昧にしています。
初めはゲーム・イラスト系のキャラクターを描くことがメインで、その息抜きに今の作風を描いている程度だったのですが、自分の表現したいものが心象風景だったことに気付いてからはこのテーマで制作をしています。
作品の制作で心がけている事はありますか?
できるだけ自分の表現したいものを相手に伝えられるように、自分自身の考えを細かく分析してから作品制作をしています。
FROM ARTISTでは、様々なジャンルのアーティストさんをお取り扱いしていますが、水彩、厚塗り、ペン画など自分の得意な技法などあれば教えてください。
中学生のころから水彩を扱っていたので、水彩っぽい表現が得意です。
アーティストさんによって絵を描く原動力がそれぞれあると思うのですが、制作におけるインスピレーションはどのような所から受けますか?
普段の生活や、好きな曲の中からテーマやインスピレーションを受けることが多いです。
今後挑戦してみたいと思っている表現やテーマはありますか?
現在は抽象的な表現が多いので、風景画などの具象の中に今のテーマを混ぜ込んだ作品が作れるといいな~と思ってたまに挑戦しています。
個人的なことも質問させてください。アート以外に興味がある事、趣味などはありますか?
カラオケ、ゲームアニメ漫画、曲を聴くことと鳥と戯れることが好きです。
最後に、座右の銘を教えてください。
反省はするが後悔はしない!
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作品名:大事な部分は隠したままで