「何でも描く」からこそ生まれた唯一無二の図案。京都の町絵師が手仕事で描く、暮らしに寄り添う美の原点【絵師冬奇インタビュー】 - FROM ARTIST

「何でも描く」からこそ生まれた唯一無二の図案。京都の町絵師が手仕事で描く、暮らしに寄り添う美の原点【絵師冬奇インタビュー】

暮らしを彩る柄を生み出す、京都の「町絵師」として

今回は京都で町絵師として活動されている「絵師冬奇」さんにお話しを伺いました。

インタビュアー:本日はよろしくお願いいたします!自己紹介と、現在どのような作品(活動)を中心に制作されているか教えてください。

絵師冬奇:はじめまして。京都で町絵師をしている冬奇です。

普段は、人々の生活に必要な「柄」を制作して販売するほか、オーダーによるデザイン制作(ご依頼)も受けています。

無茶振りも糧に。「なんでも描ける」経験から築いた絵師の道

インタビュアー:「町絵師」という響きに既に趣きがありますね!次に、アート・ものづくりの道を志した「原点」や、現在の活動を始めた「きっかけ」は何ですか?

絵師冬奇:はじめは日本画家からスタートし、その後、京友禅の職人となって伝統工芸の「分業制」という世界を知りました。

その中で、「自分はそれぞれの工芸に応じた図案を作れる立場にいる」と気づいたんです。周囲から「なんでも描けるんでしょう?」というような一見無茶な振りをいただくことも多かったのですが(笑)、そうした現場での挑戦と経験値を一つひとつ積み重ねてきたことが、今の活動に繋がっています。

アナログの質感を守り抜く。道具を作る職人へのリスペクト

インタビュアー:現場で培われた技術って説得力がありますね!続いて、作品を制作する上で、最も大切にしている「こだわり」や「コンセプト」を教えてください。

絵師冬奇:筆で描かれた絵の美しさに憧れて絵師になったので、「まずは手描きで筆を走らせる」というプロセスを一番大切にしています。パソコンでトレースして仕上げる際も、起点となるのは常に人の手による描写です。

また、筆や刷毛(はけ)といった道具を作る職人さんたちと、これからも末永く手仕事の文化を紡いでいきたいという思いがあります。基本に忠実な「手作り」こそが、私のこだわりです。

日々の投稿は「素振り」。日常の気づきから広がる描写の幅

インタビュアー:職人さんの手作りは何物にも代えがたいですね!では、日々の制作のアイデアやインスピレーションは、どのようなところから湧いてきますか?

絵師冬奇:毎日Instagramに作品を投稿しているのですが、これは自分にとって「日々の素振り」のようなものです。雨が降れば水をモチーフにし、節分なら豆まきを描く。いつどんなテーマのお仕事が舞い込んでも応えられるよう、常に感覚を研ぎ澄ませています。

最近感動したのは、お盆のお供え物のキュウリとナスですね。「早く来られるように馬(キュウリ)」、「ゆっくり帰れるように牛(ナス)」という意味があると知り、「ナスが牛なのか!」と目からウロコでした。こうした日々の発見も大切なアイデア源です。

大手コラボから伝統芸能まで。「街で見かけるあのデザイン」を手がけて

インタビュアー:それはびっくりでしたね!続いて、これまでの活動の中で、特に印象に残っている出来事や、ご自身にとって「ターニングポイント」となった出来事はありますか?

絵師冬奇:学生時代に指導してくださった日本画の先生には、自分が今「町絵師」と名乗って活動していることを実は伝えられていません。ご存命の際も「今なにしてるの?」と聞かれてうまく答えられなかったのですが、自分の中でどこか不思議な葛藤があったのかもしれませんね。

仕事としてのターニングポイントで言えば、知恩院の仕事、初音ミクとのコラボ、阿波踊りの衣装デザイン、イオンモールの内装デザインなど、幅広いジャンルで作品をご好評いただいたことです。多くの方の目に触れるきっかけとなり、大きな経験となりました。

人の役に立つ柄を作り続ける。新たな挑戦は「茶道」の世界へ

インタビュアー:本当に多様なジャンルでご活躍ですね!次に、作家として、今後挑戦してみたいことや、これからの展望(夢)を教えてください。

絵師冬奇:絵師というものは、生きている限り「人の生活に必要な柄を作る」ことが仕事だと思っています。これからも少しでも人の役に立てるよう、精進を重ねていきたいです。

これから新たに挑戦したい未開拓のジャンルとしては「茶道」があります。現在はその深い世界観を学び、見識を深めている最中です。

世紀の天才よりも、人々に愛される「町の絵師」でありたい

インタビュアー:茶道!作品により深みが生まれそうですね!最後に、この記事を読んでいるファンの方や、これから冬奇さんの作品に出会う方へメッセージをお願いします。

絵師冬奇:「世紀の天才」として歴史に名を残す一人を目指すより、人々の暮らしに寄り添う「町衆(まちしゅう)のひとり」を目指して描く絵師でありたいと思っています。

町絵師・冬奇を、今後とも引き続きどうぞご贔屓(ひいき)にお願いいたします。

 

 

【お名前(活動名)】

絵師冬奇
【肩書き・ジャンル】

町絵師
【SNS・WEBサイトのURL】

https://eshi-fuyuki.com/

【FROM ARTISTアーティストページ】

https://app.from-artist.com/artist/592bec77-8f8c-4c40-afd4-b53d91db9443

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