9月18日(金)、魂で浴びる『太陽の歌』 - FROM ARTIST

9月18日(金)、魂で浴びる『太陽の歌』

9月18日(金)、魂で浴びる『太陽の歌』
——東京カテドラル聖マリア大聖堂に、小中学生200人を無料招待

天井の高さは最大約40メートル。丹下健三が設計した東京カテドラル聖マリア大聖堂は、ひとつの音が7秒ほども残りつづける空間です。コンサートホールのように音響設計された場所ではないこともあり、音楽家にとってこの残響は、はっきりいって厄介者でしかありません。
そしてそもそも、教会音楽はこういう場所で生まれました。教会建築の豊かな残響を前提に、音が溶け合うように書かれてきたのです。アッシジの聖フランチェスコが「太陽の歌」を書いた800年前、音楽が鳴っていたのはまさにこういう空間です。
この厄介者をあえて味方につけ、最高の音を練り上げようという挑戦的なコンサートが、9月18日に開かれます。

作曲・ピアノの林晶彦さんは、世界平和、愛と祈りをテーマに長年創作を続けています。
音を聴いて絵に表現する僕とはちょうど逆で、林さんは絵など視覚からインスピレーションを得て音楽をつくる人。小平市鷹の台のギャラリーで出会い、今年春の荻窪三庭園での滞在制作では、それぞれ音楽と絵画を共作したこともありました。同じ土地の景色や気配を共有しながら、林さんが作った音楽を僕が絵にし、その絵から林さんが音楽をつくる、そのようなやりとりの中で、いくつもの作品が生まれました。

「太陽の歌 〜つくられたものすべての賛歌〜」について

林さんは小学校5年生の時、ローリング・ストーンズの「黒くぬれ!」の影響でギターを始めロック少年になりましたが、ラジオから流れてきたバッハの音楽を聴き、感動してクラシック音楽に転向、ピアノを始めます。
高校を中退し、17歳で単身フランスに渡り音楽の修行を積みますが、B型肝炎にかかり生死の淵をさまようも回復。その時からイスラエルに対する憧れが強くなり、現地に拠点を移して、イスラエルフィルハーモニー交響楽団の練習に参加するなどして経験と研鑽を重ね、インド・中近東を経て帰国。独自の音楽を追求しながら、現在に至ります。
「太陽の歌 〜つくられたものすべての賛歌〜」は、イタリア・アッシジの聖フランチェスコが800年前に書いた詩に、林さんが曲を付した作品です。
この歌が生まれたきっかけは、原爆投下から75年の節目に広島で行われた芸術イベント「平和と美術と音楽と」でした。林さんにとって初めての広島公演でしたが、コロナ禍のため無観客に。その演奏のために、前半部分が作られました。後半が書かれたのは、それから5年後です。原爆投下から80年目、今度は客席に人がいる場所で鳴らすために。5年をまたいで、無観客と有観客の二つの機会に分けて完成したことになります。
詩は、すべての自然や生き物を「兄弟」「姉妹」と呼び、神を賛美しています。この作品が持つ感覚は、「万物に神が宿る」という日本の八百万の神の思想とも響き合っているように感じられます。
そして、その詩に重ねられた林さんの音楽も、すべての命に心からの愛と祈りを捧げる宇宙規模のスケール。耳で聴くという次元を超えて、魂に直接働きかけてくるような感覚があります。
虫も、動物も、木も、人も、すべてが繋がっている——宗教も国籍も価値観も越えていくその世界観は、公演パンフレットの締めくくりを広島・西光禅寺の僧侶が執筆していることにも、はっきりと表れています。

演奏者たちも技術の高さだけではなく、音楽を通してそれぞれの魂を、多くの人の魂へと届ける力を持った人たちです。
林さんによれば、オペラ歌手の中川詩歩さんは被爆三世。ヴァイオリニスト・水谷晃さんは、建築の道を志しながら、9.11をきっかけに「形あるものはやがてなくなる」といつまでも残る音楽に転じた人です。チェリスト・新倉瞳さんは、マッテオ・ゴフリラー作のチェロを、宗次コレクション(名器約30挺を若手演奏家に貸与するなど、芸術活動を支援するNPO法人)から託されています。

スマホ世代の子どもたちに生演奏の響きを

このコンサートにはもうひとつ、林さんの強い願いが込められています。生演奏に触れる機会のない、スマートフォンの画面越しに世界を知る世代に生の音が体を通り抜けていく感覚を渡したい。魂をゆさぶるような本物の音を浴びてほしい。
そんな願いをこめて、小中学生200人を無料で招待しているのです。
▼小中学生無料招待チケットはこちらから申し込めます
→https://forms.gle/svfRMovqdpp9eKvM7

日本には、芸術家の生活を公的に支えるしくみがほとんどありません。コンサートを企画した「太陽の歌実行委員会」は、よい音楽を届けるとともに、芸術家が得るべき収入をきちんと得られる未来をつくろうとしている団体でもあります。
今回のコンサートの、200人分の子どもたちの席は、大人のチケット代で支えられています。一人が一枚を買うことが、そのまま一人の子どもを素晴らしい響きのなかに座らせることになります。そして、まだ埋まっていない席があります。大人の席も、子どもの席も。
お子さんがいる方も、お孫さんがいる方も、学校や地域で子どもと関わっている方も。ひとりの子に声をかけてもらえたら、それだけで一席埋まります。
未来のこの国の感性を育てるために、と言うと大げさでしょうか。
でも、9月18日に大聖堂で起きることは、たぶんそういうことです。
▼一般チケットのお申込みはこちらです
https://teket.jp/1355/67736

東京カテドラル聖マリア大聖堂について
東京カテドラル聖マリア大聖堂の前身は、1899年に建てられた木造ゴシックの聖堂でした。堂内には畳が敷かれていたといいます。それが1945年、東京大空襲で焼けました。
いまの建物が竣工したのは1964年。設計は丹下健三です。その15年前、丹下は広島市の設計競技で1等を獲りました。百メートル道路と直交する軸線の先に慰霊碑を据え、資料館をピロティで浮かせて原爆ドームへの視線を通した、あの広島平和記念公園の設計者です。
大聖堂は、上空から見ると十字架の形をしています。けれど中へ入る道筋は、むしろ日本の寺社に近いもの。敷地の正面からまっすぐ聖堂に向かうのではなく、一度奥の「ルルドの洞窟」へ向かい、転回して階段を上る。それは鳥居をくぐり、参道を進んでから向きを変え、石段を上って社殿に相対するのと、同じ組み立てです。
建物が十字架で、歩き方が参道。この聖堂には、最初からその二つが同居しています。

前出の通り、「太陽の歌」は原爆投下から80年の広島で発表されました。その作品が、広島平和記念公園を設計した人の手による、空襲で焼けた跡地の聖堂で鳴る。偶然の重なりですが、9月18日にそこで起きることを考えると、単なる偶然という言葉では足りない気がします。
付け加えれば、丹下はこの大聖堂の功績で1970年、ローマ教皇庁からサン・グレゴリオ・マンニャ勲章を授与されています。

録音や配信では絶対に捉えきれない多重の響きが、あの大聖堂に立ち上がります。
「聴く」のではなく「浴びる」。
理屈で理解するより先に、「すべてが繋がっている」という感覚が身体に入ってきてしまう——そんな時間にきっとなるはずです。

コンサート「太陽の歌 〜つくられたものすべての賛歌〜」
2026年9月18日(金)19:00開演/開場18:30
会場:東京カテドラル聖マリア大聖堂(東京都文京区関口3-16-15)
アクセス:東京メトロ有楽町線「江戸川橋」駅より徒歩15分/都バス「椿山荘前」下車徒歩1分
チケット:【S指定席】(前方エリア/限定90席) 8,000円
【A自由席】(常設長椅子席)6,000円 [学割(高校生・大学生)] 3,000円
【B自由席】(特設パイプ椅子席)4,000円[学割(高校生・大学生)] 2,000円
※上記はすべて前売料金です。当日券は各1000円増となります

▼チケットのお申込み
https://teket.jp/1355/67736

▼小中学生無料招待(200名)をご希望の方はこちらよりお申し込みください
→https://forms.gle/svfRMovqdpp9eKvM7

※付き添いの保護者の方は一般チケットをお求めください。

Back to blog