パンクの精神と哲学が交差するキャンバス。音と色彩で「存在の謎」を追う表現者の軌跡【MORI-SHINインタビュー】

パンクの精神と哲学が交差するキャンバス。音と色彩で「存在の謎」を追う表現者の軌跡【MORI-SHINインタビュー】

故郷の風景と音楽、そしてパンク精神から生まれた表現の芽

今回はシンガーソングライター、アクリル画家として活動されている「MORI-SHIN」さんにお話しを伺いました。

インタビュアー:本日はよろしくお願いいたします!自己紹介と、現在どのような作品(活動)を中心に制作されているか教えてください。

MORI-SHIN:私は日本本土最西端にあるカトリックの漁村で生まれ育ちました。幼少期に過ごした雑木林やリアス式海岸の風景は、後に手がける詩や絵画に多大な影響を与えています。

もともと絵は苦手で、スポーツや読書、音楽に夢中な少年時代でした。中学でブラスバンド、高校で弦楽部(クラシックギター)を経験し、やがてハードロックやパンク、ニュー・ウェイヴの洗礼を受けるようになります。

19歳で上京してからは、作詞やバンド活動を開始。そのパンク精神の流れからアクリル画も描くようになりました。その後は「F#スミレ」の名でアコースティックギターの弾き語りを行いながら、絵画制作を継続。2024年の退職を機に「残りの人生をアーティスティックに生きたい」と決意し、15号のアクリル画で現展に入選、WEB上での作品公開へと本格的に踏み出しました。現在はアクリル画を中心に、表現活動を続けています。

アートを「思考」するための哲学、現代美術との出会い

インタビュアー:「残りの人生をアーティスティックに」素敵な決意ですね!では、アート・ものづくりの道を志した「原点」や、現在の活動を始めた「きっかけ」は何ですか?

MORI-SHIN:1980年代前半、阿木譲氏が手がける音楽雑誌『ロックマガジン』のダダやシュルレアリスム特集で、ピカビアやマン・レイ、デュシャンなどの存在を知ったことが大きな原点です。

特にマルセル・デュシャンの『大ガラス(彼女の独身者たちによって裸にされた花嫁、さえも)』との出会いは決定図的でした。アートを哲学的な視点から思考するきっかけとなり、そこから得た「ガラス上の遅延」という観念は、その後の自分の思考の核となっていきます。

また同時期に原美術館でクリストの『ラニング・フェンス』の映像を観たことで、現代アートへの視界が一気に広まりました。ルネサンスから現代美術まで幅広く知見を深めるなかで、私のアートに対する感性は養われていきました。

完璧なオリジナルを求める情熱と「タイトル」に込める哲学

インタビュアー:音楽と美術はいつの時代も密接な関係性ですよね!次に、作品を制作する上で、最も大切にしている「こだわり」や「コンセプト」を教えてください。

MORI-SHIN:楽曲を作るときも絵を描くときも、根底にあるのは「誰も表現したことのないものを生み出したい」という情熱です。究極的な意味での完全なオリジナルが存在しないと分かっていても、独自性を追求する欲求は強く持ち続けています。

また、私にとって表現とは哲学とアートが出会う場でもあります。そのため、作品の「タイトル」には大きな比重を置いており、ときには「タイトルそのものが作品である」と言えるほど、言葉とイメージの関係性を大切にしています。

五感の記憶と世界のすべてが織りなすインスピレーション

インタビュアー:タイトルも作家さんの個性が出るところですよね!続いて、日々の制作のアイデアやインスピレーションは、どのようなところから湧いてきますか?

MORI-SHIN:インスピレーションの源泉を具体的に一言で示すのは難しく、言ってみれば「存在の全体から」としか表現できません。感情の発生源が解き明かせないように、存在そのものがひとつの大きな謎だと感じているからです。

あえて要素を挙げるなら、5歳の頃に過ごした環境と当時の感性、ロックやジャズ、スピノザの汎神論、フィリップ・K・ディックのSF小説、そして熱帯植物など。これら多様な要素が重なり合い、ひとつとなって自分の表現へと昇華されています。

未だ見ぬ最高傑作を追い求めて

インタビュアー:「存在の全体からのインスピレーション」これまた深いですね!では、これまでの活動の中で、特に印象に残っている出来事や、ご自身にとって「ターニングポイント」となった作品(または出来事)はありますか?

MORI-SHIN:私にとってのターニングポイントは、「これから訪れるもの」だと思っています。自分自身、まだ真のアーティストになりたいと願う「アーティストのようなもの」だと感じているからです。

いつか自分の中で「これだ」と心から確信できる決定的な作品を創出できた瞬間こそが、本当のターニングポイントになるはずです。その未来を信じて制作を続けています。

キャンバスに向かい続け、表現者として生きていく

インタビュアー:とても謙虚でいらっしゃいますね!次に、作家として、今後挑戦してみたいことや、これからの展望(夢)を教えてください。

MORI-SHIN:生涯を通じてアーティスティックであり続けるために、これからもアクリル画を描き続け、新しい歌を作り出していきたいです。

絵画に関しては、持ち味を活かせるF10号サイズを中心とした小品を丁寧に手がけていくつもりです。また、機会があればぜひライブ活動も再開したいと考えています。

自由な感性で楽しむ、絵と言葉の小宇宙

インタビュアー:これからが楽しみですね!最後に、この記事を読んでいるファンの方や、これからあなたの作品に出会う方へメッセージをお願いします。

MORI-SHIN:私の作品には哲学的なタイトルがついていることが多く、一見すると「難しい」と感じられるかもしれません。ですが、難しく捉えず、絵と言葉を切り離して「ただ良い絵だな」と感じていただくだけで十分に嬉しいのです。

一方で、世の中にはアートと哲学の結びつきに魅力を感じる方もいらっしゃると信じています。私の作品が、そうした方々にとって「アートと哲学が織りなす謎めいた世界」へ踏み出すひとつのきっかけになれば幸いです。

 

 

【お名前(活動名)】
MORI-SHIN 1980年代~2010年頃までは、F#スミレという名で活動
【肩書き・ジャンル】
シンガーソングライター、アクリル画家

【FROM ARTISTアーティストページ】

https://app.from-artist.com/artist/2e4bfc8f-48c5-4ac5-8bf1-73fe05e9c1bf

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