窓辺に差し込む朝の光が、ふと目に留めた花の輪郭を浮かび上がらせる。あるいは、高原を歩いていて、風に揺れる草の向こうに広がる空の青さに息をのむ。そんな一瞬の感覚を、ノリ子は絵筆で掬い取る。彼女の作品には、声高に主張するような力強さはない。けれどもそこには、静かに時間をかけて見つめたくなるような引力がある。光と色が織りなす繊細な世界は、アートに初めて触れる人にも、空間に彩りを求める人にも、優しく語りかけてくる。
作品紹介
日常の中で出会う小さな美しさ──それは時に、一輪の花に凝縮されている。秋明菊のピンク色の花びらが風に揺れる様子や、高原の草原に広がる雄大な景色。ノリ子が選び取るのは、どこか懐かしく、それでいて新鮮な驚きを秘めた情景だ。さりげない構図の中に、光と影、色と余白が繊細なバランスで配置されている。
花から視線を遠くへ移すと、そこには広大な風景が広がっていた。
花と風景、異なる距離感で捉えられた二つの作品は、どちらも光の質感を丁寧にすくい取っている。静けさの中に宿る豊かさを、感じていただけるだろうか。
花と風景。一見異なるモチーフでありながら、どちらにも共通するのは、光の在りようへの眼差しだ。ノリ子の作品は、壁に掛けられた瞬間から、その場所に静かな呼吸を与えてくれる。日々の暮らしの中で、ふと立ち止まって深呼吸したくなるような空間を求めているなら、彼女の描く世界に手を伸ばしてみるのも良いかもしれない。光の記憶は、あなたの部屋にも宿るはずだから。