一枚の絵の前に立ったとき、時間が止まったような静けさと、いまにも何かが動き出しそうな予感を同時に感じることがある。ゆき ひろこの作品には、そうした相反する要素が自然に溶け合っている。渡英後、世界各地を訪れ、多様な文化圏のアーティストたちと交流を深めてきた彼女は、帰国後もメルヘンやファンタジー、動物といったモチーフに向き合い続けてきた。その画面には、静と動、現実と空想が静かに呼応し合う独自の情景が広がっている。
作品紹介
メルヘンという言葉には、どこか懐かしさと、まだ見ぬ世界への憧れが同居している。ゆき ひろこが今回発表する作品「静&動」は、そのタイトルが示すように、静止した空間と動き出す気配が交錯する一枚だ。画面には動物たちの姿が描かれ、その表情や佇まいからは、物語の始まりを予感させる独特の空気が漂っている。
静けさの中に潜む生命の予感。一枚の作品が、見る者の内側で静かに物語を動かし始める。
一枚の絵が持つ静けさと躍動。ゆき ひろこの作品は、見る者それぞれの記憶や想像力に寄り添いながら、物語の入り口を静かに開いてくれる。日常の空間に置かれたとき、その絵はきっと、時間の流れ方を少しだけ変えてくれるだろう。気になる作品があれば、ぜひ手元に迎えて、自分だけの物語を紡いでみてほしい。