自然の心地よい気配をテクスチャーアートで表現する
今回はテクスチャーアートを中心に活動されている「カスミラン」さんにお話しを伺いました。

インタビュアー:本日はよろしくお願いいたします!自己紹介と、現在どのような作品(活動)を中心に制作されているか教えてください。
カスミラン:はじめまして、カスミランと申します。神戸の山の麓で育ち、今も豊かな自然に囲まれながら日々ものづくりをしています。 活動のテーマは、初期の頃からずっと変わらず「自然+遊びゴコロ」です。
現在は、アルコールインクやアクリル絵の具をベースに、シーグラスや天然石、キャンドル用のワックスやレジンなど、多様な素材を組み合わせたテクスチャーアートを中心に制作しています。
海のきらめきや森の奥のしっとりした空気感など、自然の中に身を置いたときに感じる心地よい気配を、質感ごと画面にぎゅっと閉じ込めるような感覚です。毎日素材との対話を楽しみながら手を動かしています。

一冊の絵本と、巨匠からの言葉が変えた人生の軌道
インタビュアー:一貫したテーマで制作されてるのですね!では、アート・ものづくりの道を志した「原点」や、現在の活動を始めた「きっかけ」は何ですか?
カスミラン:20代の頃はアウトドア関連の会社で、海外営業や貿易の仕事にどっぷり打ち込んでいました。仕事はすごく充実していましたが、毎日とにかく多忙で、知らず知らずのうちに心身ともに少し休息を求めていたのだと思います。
そんなある日、ふと手にした『父は空 母は大地』という自然をテーマにした絵本に出会いました。ページをめくるうちに心の奥を強く揺さぶられるような感覚があり、「私もこんなふうに、誰かの心に深く響く世界を描いてみたい」と強く思ったのがすべての原点です。
その後、会社を辞めて創作と旅の道へ進み始めました。その頃に絵本作家のスズキコージさんからいただいた「当たり障りのある人生を生きなさい」という言葉が、迷いの中にいた私の大きな励ましになり、より一層表現の道へ進む背中を押してくれました。

素材が偶然作り出す表情を、遊び心で掛け合わせる
インタビュアー:とても素敵な言葉ですね!続いて、作品を制作する上で、最も大切にしている「こだわり」や「コンセプト」を教えてください。
カスミラン:作品づくりにおいて、私が何より大切にしている軸はやはり「自然+遊びゴコロ」です。かしこまりすぎず、効率や正解を求めすぎず、自分自身が自然の一部になって面白がりながらつくることを大切にしています。
たとえば、木製パネルの上にキャンドルワックスを溶かし込み、そこにウミガメやゾウといった自然のモチーフをシルバーやゴールドの線で描き出していく作業などは、予測不能な面白さに満ちています。
意図して作る枠組みを超えて、素材そのものが偶然作り出す表情を活かす。自然の気配と私自身の遊び心を掛け合わせることで、画面に唯一無二の質感を生み出すことにこだわっています。

世界を巡る「旅」と「体験」が、五感を開く最大のインスピレーション
インタビュアー:まるで自然と対話して制作しているようですね!では、日々の制作のアイデアやインスピレーションは、どのようなところから湧いてきますか?
カスミラン:これは間違いなく、「旅」と「自然の中での体験」から湧き上がってきます。
若い頃にバックパック一つで巡ったタンザニアでのサファリや、オーストラリアで触れたアボリジニアート、フィンランドの静かな森の空気などは、今でも私の感性の土壌になっています。最近の旅では、台湾のパワフルなアジアンカラーや、スリランカの圧倒的な熱気が強く心に残っています。
そういう場所で直接肌に受けた風の匂いや生命の力強さが自分の中に蓄積され、アトリエに帰ってから少しずつ、色や形、そして独特の質感となって溢れ出てくる感じです。日常から一歩離れて五感をひらく時間が、私にとって最大のインスピレーションの源ですね。

「何屋さんでもいい」枠にとらわれない自由を手に入れた転機
インタビュアー:お話を聞いているだけでもワクワクしますね!続いて、これまでの活動の中で、特に印象に残っている出来事や、ご自身にとって「ターニングポイント」となった作品(または出来事)はありますか?
カスミラン:大きな転機としては二つあります。
一つは2005年に小学館の「おひさま大賞」で最優秀賞をいただいたことです。それまで暗中模索だった自分の表現が、ちゃんと誰かに届いて認められたという経験は、作家として歩き出す上での大きな自信と励みになりました。
もう一つは、長年「色んなものを作りすぎていて、何屋さんか分からない」とモヤモヤ悩んでいた自分自身に、ようやく吹っ切れたことです。
ある時ふと立ち止まって、「一つの専門に特化しなきゃという焦りは、世間の成功モデルに自分を当てはめて安心したかっただけなんだ」と気づきました。誰かが作った基準ではなく、自分が表現したい世界観に忠実に、もっと自由に作っていいと思えた瞬間、心のつかえが取れたんです。
そのモヤモヤを手放してからは、現在のテクスチャーアートのように、枠にとらわれない自由な表現へ一気に視界が開けました。

生涯旅を続け、誰かの「心がふっとゆるむ時間」を届けたい
インタビュアー:確かに作品を拝見しますと、自由で生き生きしていると感じます!では、作家として、今後挑戦してみたいことや、これからの展望(夢)を教えてください。
カスミラン:一番の夢は、おばあちゃんになっても変わらず好奇心いっぱいに世界中を旅して、その時々の感動を作品にし続けていくことです。年齢を重ねても守りに入らず、常に新しい風を感じていたいですね。
そして、私の作品を手にしてくださった方が、忙しい日常の中でふと立ち止まり、肩の力を抜いて深呼吸できるような、そんな「心がふっとゆるむ時間」をお届けできたらこれ以上嬉しいことはありません。
大それた目標を掲げるよりも、これからも自分らしい歩幅を崩さずに、これまで私を癒やし、育んでくれた自然への恩返しを込めて、マイペースに温かな表現を生涯続けていきたいなと思っています。

正解なんてなくていい。心の奥の遊びゴコロを一緒に楽しんで
インタビュアー:とても素敵な夢ですね!最後に、この記事を読んでいるファンの方や、これからカスミランさんの作品に出会う方へメッセージをお願いします。
カスミラン:いつも温かく応援してくださる皆様、そして今日、この記事を通して初めて出会ってくださった皆様、本当にありがとうございます。
大人になって社会の中で生きていると、つい「ちゃんとやらなきゃ」と肩に力が入りがちですよね。でも、たまにはちょっとだけ心の奥から遊びゴコロを引っ張り出して、私のアートと一緒に面白がってもらえたら嬉しいです。
「正解なんてなくていい、自由でいいんだ」と、フッと心が軽くなるような感覚を分かち合えたら最高です。これからも皆様の日常にささやかな彩りと、心地よい風をお届けしていきますので、どうぞゆるやかにお付き合いください。

【お名前(活動名)】
カスミラン
【肩書き・ジャンル】
クリエイター
【SNS・WEBサイトのURL】
HP:https://kasumiran.com/
Instagram:https://www.instagram.com/kasumiran/
note:https://note.com/kasumiran
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