見えない美しさを探して——画家が描く「光と水」、そして生命のゆらぎ【駿河愛子インタビュー】

見えない美しさを探して——画家が描く「光と水」、そして生命のゆらぎ【駿河愛子インタビュー】

光と水のゆらぎを描き、つくる喜びを分かち合う

今回は画家・臨床美術士として活動されている「駿河愛子」さんにお話しを伺いました。

インタビュアー:本日はよろしくお願いいたします!自己紹介と、現在どのような作品(活動)を中心に制作されているか教えてください。

駿河愛子:画家の駿河愛子です。美術大学で油画を学んだ後、特別支援学校の教員として働きながら、公募展への出品を通して制作を続けてきました。

現在はアクリル絵の具を使い、「光と水のゆらぎ」をテーマにした絵画を制作しています。水中の植物が自由に枝分かれするフォルムや、水を通して見えてくる光の複雑な表情に惹かれています。

また、臨床美術をベースにしたアート教室の活動にも取り組んでいます。自分自身で作品をつくることと、誰かと一緒につくる楽しさを分かち合うこと。その両方を大切にしながら活動しています。

一本の雑草が教えてくれた、世界に潜む美しい形

インタビュアー:精力的に活動されてますね!続いて、アート・ものづくりの道を志した「原点」や、現在の活動を始めた「きっかけ」は何ですか?

駿河愛子:原点として記憶に残っているのは、7歳くらいの頃の出来事です。実家の店の隣にあった駐車場で一本の雑草を引き抜いたとき、根が切れずにすっと抜けて、その根っこが驚くほど白かったんです。「普段は見えない場所に、こんなに複雑で美しい形があるのか」と、しばらく見つめてしまいました。

美術を自分の居場所として強く意識したのは思春期です。「自分は何のために生まれてきたんだろう」と模索する中で、ひとつの正解に縛られない美術の世界に深く救われました。誰かにとっては価値がなくても、別の誰かにとってはかけがえのないものになる。自分の感覚を信じていいのだと思えました。

そして何より、自分の手から何かが生まれることがシンプルに楽しかった。そのまっすぐな気持ちが、今日まで続けてこられた一番の理由です。

枝分かれする生命の複雑さと、ひとつにつながる美しさ

インタビュアー:とても素敵な出会いを経験されましたね!次に、作品を制作する上で、最も大切にしている「こだわり」や「コンセプト」を教えてください。

駿河愛子:長く追求してきたのは、「枝分かれし複雑になっていく形が、全体としてはひとつにまとまって見える」というイメージです。

植物の根や枝の形は、生命の進化や家系図の広がりにも似ています。どんどん枝分かれして複雑化しているように見えても、少し離れて眺めると大きなつながりや流れが見えてくる。そうした複雑さを抱えたまま成り立つ美しさを描きたいと思っています。

現在の「光と水のゆらぎ」というテーマも、その探究の延長線上にあります。自分が何に心を動かされたのかを見失わず、それをどう画面に表現するか、日々試行錯誤を重ねています。

水中撮影の実験と、日常の刺激から生まれる表現

インタビュアー:ビジョンをしっかり持って制作されているのが伝わってきます!では、日々の制作のアイデアやインスピレーションは、どのようなところから湧いてきますか?

駿河愛子:主に自然がつくり出す造形から受け取っています。植物の枝分かれや海藻の形、水の動き、光の映り込みなどは見ているだけで飽きることがありません。特に水中の植物には、地上の植物とは異なる、重力から解放されて広がるような自由さを感じます。

ただ観察するだけでなく、自分で小さな水中の世界を表現する実験も行っています。水を入れた大きな袋の中に、色水を入れた袋を浮かべて水中撮影をするんです。そこで立ち現れる光や色、水面への映り込みの美しさを、絵画の表現へとつなげています。

また、美術館での鑑賞や本、音楽から刺激を受けることも多いです。若い頃に好きだった遊佐未森さんの「君のてのひらから」という楽曲は、ものづくりへの想いと重なり、今も心に大切に残っています。

記憶と世界が重なった瞬間、そして作品の役割の変化

インタビュアー:飽くなき探求心をお持ちですね!続いて、これまでの活動の中で、特に印象に残っている出来事や、ご自身にとって「ターニングポイント」となった作品(または出来事)はありますか?

駿河愛子:自身の制作テーマを模索していた時期に、幼い頃に見たあの「白い草の根」の記憶がふとよみがえったことです。その形が進化系統樹や家系図のイメージと重なり、さらにフラクタル画像やチベット医学のタンカ図像と出会ったことで、描くべき表現の方向性が鮮明になりました。

もうひとつは、制作に対する意識の変化です。若い頃は「自分が生きた証」として作品を残したいという気持ちが強くありました。ですが現在は、生きているうちに作品を通して人と心を通わせ合えることにこそ、深い価値を感じています。特定の出来事というよりは、制作を重ね年を重ねる中で育まれた大切な変化ですね。

自由な感性を育む場づくりと、深まる表現への挑戦

インタビュアー:確かに生きているうちに外の世界と繋がっていく方が、世界が広がっていきそうですよね!次に、作家として、今後挑戦してみたいことや、これからの展望(夢)を教えてください。

駿河愛子:表現の面では「光と水のゆらぎ」をもっと深く探究していきたいです。自然の複雑さや絶えず移ろい続けるものの美しさを、一枚の絵画にどう閉じ込められるのか、まだまだ試したいアプローチがたくさんあります。

また、作品を展示して見ていただく機会と、アート教室などを通して一緒につくる機会の双方を大切に育みたいと考えています。長年携わってきた特別支援教育での経験も生かしながら、誰もが自分の感性や表現を伸びやかに楽しめる場をつくっていきたいです。

自分の中から生まれた表現を共有し、深いところで共感し合える。そんな温かな出会いを重ねていくことが、これからの大きな楽しみです。

あなたの感覚で、自由に作品と出会ってほしい

インタビュアー:とっても楽しみですね!最後に、この記事を読んでいるファンの方や、これから駿河さんの作品に出会う方へメッセージをお願いします。

駿河愛子:作品に目をとめてくださり、本当にありがとうございます。

美術の魅力は、見る人によって受け取り方が全く異なるところにあると思っています。私の作品も「これは何だろう」「この色が素敵だな」と、ご自身の感覚で自由に楽しんでいただけたら嬉しいです。

私が見つけて心を動かされた形や光が、誰かの記憶や想いとどこかでそっとつながっていく——。そんな愛おしい出会いを楽しみに、これからも丁寧に制作を続けていきます。

【お名前】

駿河 愛子
【肩書き・ジャンル】

画家・臨床美術士
【SNS・WEBサイトのURL】

https://www.instagram.com/aiko_suruga?utm_source=ig_web_button_share_sheet&stkn=ZDNlZDc0MzIxNw==

【FROM ARTISTアーティストページ】

https://app.from-artist.com/artist/59caf65d-04e6-4717-aaa1-e2b08972f09a

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