誰かにそっと抱きしめられたとき、言葉よりも先に肩の力が抜けていく。そんな経験は、年齢や立場を問わず、多くの人に思い当たるものではないでしょうか。ジョエル・ジョースターは、チャリティーを軸に作品を発表するアーティストです。作品の利益の一部は、病と闘う子どもたちを支えるドナルド・マクドナルド・ハウスへ寄付されます。なぜマックなのか。その答えは「マックが好きだから」という、飾らないものです。その率直さが、作品にもやわらかな温度を与えています。今回は「Hug me」と題された二点を手がかりに、その世界へ歩み入ります。
作品紹介
「抱きしめて」という願いは、強く求める声にも、遠慮がちなつぶやきにもなります。同じ「Hug me」という題を持つ二つの作品も、並べてみれば、それぞれ別の表情で語りかけてくるかもしれません。題に込められた素直な呼びかけが、見る側の記憶や気分によって、少しずつ違って響きます。部屋の壁に掛けたとき、ふと目が留まるのはどちらでしょうか。
同じ題でありながら、もう一方の「Hug me」は、また違う声で呼びかけてくるのでしょうか。前の一点との間にある、小さな差に目を向けてみます。
抱きしめてほしいという願いも、誰かを抱きしめたいという思いも、根は近いところにあるのかもしれません。二つの「Hug me」を前に、自分はどちらの側に立っているのか。そんな問いが静かに残ります。
作品を迎えることは、暮らしの中に小さな問いと温もりを置くことでもあります。ジョエル・ジョースターの「Hug me」は、日々の気分にそっと寄り添い、購入による利益の一部は寄付を通じて、病と闘う子どもたちへの応援にもつながります。好きなものを素直に好きだと言う、その軽やかさを、部屋の一角に迎えてみる。そんな選び方があってもよいのかもしれません。