混沌を発掘し、深淵へ潜る──MORI-SHINの抽象という思索

混沌を発掘し、深淵へ潜る──MORI-SHINの抽象という思索

絵画とは、完成した瞬間に凍結するものではない。MORI-SHINのキャンバスには、放置と再開、混沌と沈黙、そして新たな筆触が何層にも折り重なる。佐世保で生まれ、音楽と絵画の両輪で表現を続けてきた彼の作品は、予定調和を拒み、時間そのものを素材として扱う。ここに並ぶ六点は、制作の苦闘から自己発掘を経て哲学的深度へと至る、ひとつの思索の旅路だ。

混沌の只中で

制作の途上で、予期せぬ座礁が起きることがある。調和を目指した筆は迷走し、色彩は埋もれ、イメージは混沌の只中に沈んでゆく。それは失敗ではなく、作家が自らの限界と向き合う痕跡だ。この章に並ぶ二点は、そうした過渡期の苦闘を色濃く刻んだキャンバスである。

YETEIKONTON002

YETEIKONTON002

by MORI-SHIN

混沌のシリーズを描き続ける作家が、イメージの出現を待たずに制作した過渡期の作品。明確な意図と忘却の間で揺らぎ、見る者に予測不可能な世界へと導く。混沌に埋もれた痕跡から、何かが生まれ変わる瞬間を感じさせる。

サイズ 53×45.5cm
価格 ¥30,000
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では、その混沌がさらに加速し、黄金の時代すら落下してゆくとしたら──

黄金時代の落下

黄金時代の落下

by MORI-SHIN

当初のテーマから座礁し、手を加え続けることで次第に姿を変えた作品。黄金色と白から始まった制作が混沌へ迷い込み、やがて一つの喪失を描き出す。完成と崩壊の間で、人間の精神の頽落を静かに映し出す。

サイズ 53×45.5cm
価格 ¥30,000
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混沌は終着点ではなく、次なる発見への入口でもある。埋もれたイメージが再び息を吹き返すとき、何が起きるのか。

初めて絵を買う方へ

抽象画の良さは、説明ではなく感覚で出会うこと。まずは部屋の壁を眺めて、そこに何があると心地よいかを考えましょう。サイズは家具のバランスで決め、色は既にある空間と対話するものを。予算は無理のない範囲で。最初の一枚は、理屈より、目が惹かれたものが正解です。

時間を発掘する

放置されたキャンバスに、数年後ふたたび筆を入れる。過去の自分が残した色の断片、フォルムの名残に、いまの視線を重ねてゆく。それは考古学にも似た作業だ。時間という地層を掘り起こし、埋もれていたイメージを再起動させる。ここには自己発掘としての制作がある。

火山湖に立つピアノバード

火山湖に立つピアノバード

by MORI-SHIN

1990年代に浮かんだイメージを加筆し甦らせた自己発掘シリーズの一点。ピアノバードという象徴的なモチーフが音楽と鳥の結合から、より深い根源的なイメージへと連鎖していく。古い時間層から立ち上る創造の痕跡を見る。

サイズ 53×45.5cm
価格 ¥30,000
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火山湖に立つ鳥の静寂から一転、世界は無限に分割され始める──

無限分割世界を行く

無限分割世界を行く

by MORI-SHIN

長く放置された画面に新たな筆致が重ねられた発掘シリーズ。モナド、微分・積分、無限分割という哲学的な概念が視覚化される。有限の表現素材で無限の世界観を抽出する、抽象絵画の本質を問い直す作品。

サイズ 53×45.5cm
価格 ¥30,000
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過去と現在が交差するキャンバス上で、作家は自分自身と対話する。発掘された時間は、やがて思索の深度を呼び寄せる。

認識の深淵へ

認識とは、世界を切り取る欲望なのかもしれない。見ること、理解しようとすることそのものが、すでにひとつの欲望として機能する。表層を剥がせば深淵が現れ、その深淵もまた新たな表層に過ぎない。哲学的思索が結晶化したこの抽象世界では、見る者自身の認識が問われる。

認識は欲望のカテゴリー

認識は欲望のカテゴリー

by MORI-SHIN

認識すること自体が根源的な欲望であるという洞察から生まれた作品。知識欲と肉体的欲望を同じ次元で捉える視点は、人間の本能の奥深さを照らし出す。思考と感覚が交錯する、静寂の中の思索の軌跡。

サイズ 53×45.5cm
価格 ¥30,000
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欲望としての認識が、やがて表層そのものを巻き取ってゆく──

深淵の表層

深淵の表層

by MORI-SHIN

表層が奥へ奥へと巻き取られていく、ロールケーキのような内面構造の瞑想。物質の無限性を前提に、深さとは何かを問い直す。見えるものの背後に、終わることなく続く階層性を感じさせる作品。

サイズ 53×45.5cm
価格 ¥30,000
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深淵と表層は反転し続け、境界は溶け合う。この問いに終わりはなく、だからこそキャンバスは静かに開かれたままだ。

混沌を受け入れ、時間を掘り起こし、認識の奥底へと降りてゆく。MORI-SHINの抽象画は、完結した世界というよりむしろ、問いを開き続ける装置として機能する。壁に迎え入れるとき、その問いはあなた自身の内側で新しい対話を始めるだろう。

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